糖尿病は、血糖値を調節するインスリンの作用が低下して、慢性的に血糖値が高くなる疾患です。おもに1型糖尿病と2型糖尿病に分類され、日本では生活習慣や遺伝が関係する2型糖尿病が多くみられます。
治療は、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせて行うのが基本です。糖尿病が進行すると、神経障害、網膜症、腎症などの合併症につながる恐れがあるため、早期治療と適切な管理が重要です。

このような症状があれば、糖尿病の可能性があります。

• のどが異常に渇く

• トイレの回数が多い（多尿）

• 疲れやすい、だるさが続く

• 傷が治りにくい

• すぐにお腹が空く

• 手足のしびれや感覚異常がある

• 視界がかすむ、視力が低下した

• 皮膚が乾燥する

• 風邪をひきやすくなった

• よく食べるのに痩せてきた

上記のような症状がある方は、早めの受診をおすすめします。特に、糖尿病の家族がいる方は注意が必要です。

1型糖尿病はおもに小児から若年層で発症し、自己免疫の異常によりインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまう病気です。インスリンがほとんど分泌されなくなるため、急激に症状が現れるのが特徴です。
のどの渇きや多尿、体重減少、倦怠感などの症状がみられ、治療にはインスリン注射が欠かせません。早期に治療を開始して血糖管理を徹底することで、合併症のリスクを抑えることができます。

2型糖尿病はインスリンの分泌量が低下したり、働きが悪くなったりすることで、血糖値が慢性的に高くなる病気です。おもな原因は過食や運動不足などの生活習慣で、遺伝も影響します。これまでは中高年に多い病気でしたが、近年では若年層の発症も増えています。
治療法は食事療法や運動療法、薬物療法があります。糖尿病は放置すると合併症のリスクが高まるため、健康診断で血糖値の高さを指摘されたら、早めの受診が重要です。

妊娠中のホルモンの影響でインスリンの働きが低下し、血糖値が上昇する「妊娠糖尿病」という病気もあります。妊婦のおよそ12％にみられますが、産後は血糖値が正常に戻るケースがほとんどです。
また、ステロイド薬の使用や膵炎、ホルモン異常など、薬物や疾患が原因で発症する糖尿病もあります。

糖尿病を治療せずに放置すると、動脈硬化が進行して、特に細い血管や神経が傷つきます。その結果、全身にさまざまな合併症を引き起こす恐れがあります。中でも、足の壊疽につながる神経障害、失明の原因となる網膜症、腎不全を招く腎症は、「糖尿病の三大合併症」といわれています。さらに、動脈硬化が悪化すれば脳梗塞や心筋梗塞につながりかねません。
適切な治療でこれらの合併症は予防できるため、早めの対策が重要です。

糖尿病の診断には、次のような検査が必要です。
糖尿病は初期症状が少なく、また、合併症の有無や進行度も調べる必要があるため、適切な診断のために複数の検査を行います。

当院では、糖尿病に対して患者さん一人一人の病状やライフスタイルに合わせた治療を行っております。糖尿病は初期には自覚症状が少ないものの、放置すると合併症のリスクが高まるため、早期の診断と継続的な治療が重要です。

2型糖尿病の多くは、まず経口薬（飲み薬）による治療から始まります。当院では、血糖値を下げる作用をもつ様々なタイプの内服薬を、患者さんの血糖コントロールの状態や他のご病気との兼ね合いを考慮しながら選択します。たとえば、インスリンの分泌を助ける薬や、糖の吸収や排出を調整する薬などがあり、それぞれの作用機序に基づいて使用しています。

経口薬だけでは十分な血糖コントロールが得られない場合や、1型糖尿病の方、または一時的に血糖値の急激な上昇が見られる場合などには、インスリン注射による治療を行うことがあります。インスリン製剤には複数の種類があり、使用タイミングや作用時間が異なります。