片頭痛について

私はこれまで呼吸器内科を専門として診療してきましたが、開業後は地域の皆さんの「かかりつけ医」として、内科疾患全般の診療を行っております。最近は頭痛を訴えて受診される患者さんも多く、今回は片頭痛についてご案内を致します。


最近、台風や天気の変化が多く、「頭が重い」「頭がズキズキする」「肩こりと一緒に吐き気がする」といった片頭痛の症状で来院される方が増えています。
実はこのような気象の変化と片頭痛には深い関係があります。
今回は、気圧の変化で片頭痛が悪化する理由と、最近注目されている治療法についてご紹介します。


台風のあとは頭がズキズキ…気圧と片頭痛の深い関係

では、なぜ台風のときに片頭痛が起こりやすくなるのでしょうか。

台風が近づくと、急激に気圧が下がります。
気圧が低下すると体の外から押す空気の力が弱まり、血管が拡張しやすくなります。
その結果、脳の血管が広がって周囲の神経(とくに三叉神経)を刺激し、
「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」という痛みを伝える物質が放出されます。
これが、片頭痛特有のズキズキした痛みの原因と考えられています。

さらに、気圧の変化は自律神経のバランスも乱しやすく、
「だるい」「眠い」「肩が重い」といった不調を伴うこともあります。
この神経の乱れが血管反応をより敏感にし、頭痛を悪化させることがあります。


片頭痛の治療は2つの柱で考えます

片頭痛の治療は、「発作が起きたときに抑える治療」と「発作を起きにくくする治療」の2本立てで行います。

急性期治療(発作を抑える)

発作が起きたときに痛みを早く抑える治療です。

ロキソニン、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬で効かない場合には、

トリプタン製剤(マクサルト・イミグラン・ゾーミッグなど) を使用します。これらは、片頭痛の原因となる脳血管の拡張を抑え、炎症を鎮めることで痛みを軽減します。
発作の初期に服用すると効果的です。

ただし、トリプタンは血管を収縮させる作用があるため、
脳梗塞・心筋梗塞・狭心症などの既往がある方は使用できないことがあります。

そこで登場したのが レイボー(ラスミジタン) です。
レイボーは血管を収縮させず、神経に直接作用して痛みの伝達を抑える薬です。
そのため、心血管疾患や脳梗塞の既往がある方でも使用できるのが特徴です。
眠気が出ることがあるため、服用後の車の運転は控える必要がありますが、
安全性の高い新しい選択肢として注目されています。


予防治療(発作を起きにくくする)

片頭痛が月に何度も起こる場合や、発作で日常生活に支障が出る場合には、
発作の頻度を減らす「予防治療」を行います。

最近注目されているのが 抗CGRP製剤(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグなど) です。
抗CGRP製剤は、片頭痛の原因物質であるCGRPの働きをブロックし、
痛みの発作そのものを起きにくくします。

これらは注射製剤で、
月1回、または3か月に1回の注射で効果が持続します。
「毎日の薬の内服が負担」「痛みのない日を増やしたい」といった方に向いています。


台風の季節を少しでも快適に

片頭痛は天気やストレスなどの影響を受けやすい神経性の疾患ですが、
適切な治療によって症状を大きく改善することができます。

「気圧が下がると頭が痛い」「市販薬では効かない」などのお悩みがある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

大阪市中央区の「谷四かわい内科クリニック」へは、大阪メトロ「谷町四丁目」駅6番出口が最寄りです。駅から徒歩2分と、電車でのご来院が便利です。

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