呼吸器内科
長引く咳は「咳喘息」かもしれません:咳喘息と喘息の違いを呼吸器内科専門医が解説
皆さん、こんにちは。大阪市中央区の内科「谷四かわい内科クリニック」です。
当院では「風邪は治ったはずなのに咳だけが続く」「夜や明け方になると咳が出る」「会話や冷たい空気で咳き込む」といったご相談をよくいただきます。
このような長引く咳の原因の一つに、咳喘息があります。
咳喘息は、喘息の一つの型と考えられている病気です。通常の喘息では「ゼーゼー・ヒューヒュー」といった喘鳴や息苦しさを伴うことがありますが、咳喘息ではこれらの症状が目立たず、咳だけが続くことが特徴です。
咳だけだから軽い病気と思われることもありますが、気道では喘息に近い炎症が起こっていることがあり、適切な診断と治療が大切です。
咳喘息とは?
咳喘息とは、喘鳴や呼吸困難を伴わず、慢性的な咳が続く病気です。
一般的な喘息のように、はっきりとした「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が聞こえないことも多く、胸部X線検査や通常の呼吸機能検査で大きな異常が出ない場合もあります。
咳喘息では、次のような症状がみられることがあります。
- 乾いた咳が続く
- 夜間や早朝に咳が悪化する
- 会話、運動、冷たい空気で咳き込む
- 季節の変わり目に悪化しやすい
- 風邪のあとに咳だけが長く残る
- 痰は少ない、またはほとんど出ない
- ゼーゼー・ヒューヒューは目立たない
「咳だけだからそのうち治るだろう」と様子を見ているうちに、数週間以上咳が続くこともあります。
咳喘息では、気道が敏感になっており、冷たい空気、会話、運動、タバコの煙、香水、気温差など、ちょっとした刺激で咳が誘発されやすくなります。
咳喘息と気管支喘息の違い
咳喘息と気管支喘息は、どちらも気道に炎症が起こる病気です。
大きな違いは、症状の出方です。
| 咳喘息 | 気管支喘息 | |
| 主な症状 | 咳が中心 | 咳、喘鳴、息苦しさ |
| ゼーゼー・ヒューヒュー | 目立たないことが多い | みられることが多い |
| 息苦しさ | 目立たないことが多い | 発作的に出ることがある |
| 呼吸機能検査 | 正常のこともある | 気流制限を認めることがある |
| 治療 | 吸入ステロイド薬が中心 | 吸入ステロイド薬が中心 |
咳喘息は、喘息の一つの型と考えられています。
通常の喘息では、「ゼーゼー・ヒューヒュー」といった喘鳴や息苦しさを伴うことがあります。一方で咳喘息では、これらの症状が目立たず、文字通り咳が唯一の症状となることが特徴です。
治療には、喘息と同じように吸入ステロイド薬が使われます。また、咳喘息の約30%は喘息に移行するとされており、症状が軽くなったあとも自己判断で治療を中止せず、定期的な治療・経過観察を行うことが大切です。
つまり、咳喘息は「咳だけだから軽い病気」というわけではありません。放置すると、典型的な喘息へ移行することがあるため注意が必要です。
咳喘息はアレルギー性気道疾患の一つです
咳喘息や喘息では、気道に慢性的な炎症が起こっています。
特に、アレルギーが関係していることも多くあります。
咳を悪化させるきっかけとして、次のようなものがあります。
- ダニ
- ハウスダスト
- カビ
- ペットの毛やフケ
- スギ花粉などの花粉
- 黄砂
- タバコの煙
- 冷たい空気
- 気温差
咳喘息では、喘息と同じように気道のアレルギー性炎症が関係していることがあります。
そのため、咳喘息の治療では、単に咳を止めるだけでなく、気道の炎症を抑えることがとても大切です。
また、花粉症やアレルギー性鼻炎を合併している方では、鼻の炎症が咳に影響していることもあります。鼻水や鼻づまり、後鼻漏といって鼻水がのどに流れる症状がある場合は、鼻炎の治療もあわせて行うことが重要です。
アレルギー検査が大切な理由
咳喘息や喘息では、原因となるアレルゲンを調べることが診療の手がかりになります。
たとえば、ダニやハウスダストが関係している場合は、寝具や室内環境の見直しが大切です。スギ花粉などが関係している場合は、花粉の時期に咳が悪化しやすくなることがあります。
アレルギー検査を行うことで、次のようなメリットがあります。
- 咳を悪化させる原因を探す
- 生活環境の見直しにつなげる
- アレルギー性鼻炎や花粉症の合併を確認する
- 治療方針を考える
- 再発予防につなげる
当院では、血液検査によるアレルギー検査にも対応しています。
咳が長引く方で、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー体質がある方、またご家族に喘息やアレルギー疾患のある方は、アレルギーの関与を調べることが大切です。
咳喘息の診断で大切なこと
咳喘息の診断では、症状の経過を詳しく確認することが大切です。
特に、次のような点を確認します。
- 咳がどれくらい続いているか
- 夜間や早朝に悪化するか
- 季節性があるか
- 風邪のあとから続いているか
- 運動や会話、冷気で悪化するか
- アレルギー性鼻炎や花粉症があるか
- ゼーゼー・ヒューヒューがあるか
- 息苦しさを伴うか
咳喘息では、胸部X線検査で明らかな異常がみられないこともあります。そのため、必要に応じて呼吸機能検査、FeNO検査、血液検査、アレルギー検査などを組み合わせて評価します。
FeNO検査は、吐く息に含まれる一酸化窒素の濃度を測定する検査です。気道の好酸球性炎症を評価する手がかりとなり、喘息や咳喘息の診断補助として役立つことがあります。
ただし、FeNO検査だけで咳喘息を診断できるわけではありません。症状、診察所見、検査結果、治療への反応などを総合的に判断することが大切です。
治療の中心は吸入ステロイド薬です
咳喘息の治療で最も大切なのは、気道の炎症を抑えることです。
その中心となる薬が、吸入ステロイド薬です。
咳喘息では、喘息と同じように吸入ステロイド薬を中心とした治療を行います。症状に応じて、気管支拡張薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などを併用することもあります。
吸入ステロイド薬には、次のような役割があります。
- 気道の炎症を抑える
- 咳を改善する
- 再発を予防する
- 喘息への移行を防ぐことが期待される
「ステロイド」と聞くと不安を感じる方もいらっしゃいます。
しかし、吸入ステロイド薬は気道に直接作用する薬です。飲み薬のステロイドとは異なり、必要な部位に薬を届ける治療であり、喘息や咳喘息の基本となる大切な治療です。
症状がよくなっても自己判断で中止しないことが大切です
咳喘息では、吸入薬を使うことで比較的早く咳が改善することがあります。
しかし、咳が止まったからといって自己判断で治療を中止すると、気道の炎症が残っていて再発することがあります。
また、咳喘息の約30%は喘息に移行するとされています。
そのため、症状が改善した後も、医師と相談しながら治療期間や吸入薬の調整を行うことが大切です。
「咳が止まったから薬をやめる」のではなく、「気道の炎症をしっかり落ち着かせる」ことを意識して治療を継続することが大切です。
長引く咳には他の病気が隠れていることもあります
長引く咳の原因は、咳喘息だけではありません。
ほかにも、次のような病気が原因になることがあります。
- 気管支喘息
- 感染後咳嗽
- アトピー咳嗽
- アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎・後鼻漏
- 逆流性食道炎
- COPD
- 肺炎
- 肺結核
- 非結核性抗酸菌症
- 肺がん
特に、咳が長引く場合や、発熱、血痰、体重減少、息切れ、胸痛などを伴う場合は、胸部X線検査などで他の病気がないか確認することが大切です。
咳喘息と思っていても、別の病気が隠れていることもあります。長引く咳では、原因を決めつけず、必要な検査を行いながら慎重に診療を進めることが重要です。
まとめ
咳喘息は、喘息の一つの型であり、ゼーゼー・ヒューヒューや息苦しさを伴わず、咳だけが続くことが特徴です。
治療の中心は、喘息と同じく吸入ステロイド薬です。
また、咳喘息や喘息はアレルギー性気道疾患としての側面があり、ダニ、ハウスダスト、花粉、ペット、カビなどが関係することもあります。そのため、アレルギー検査は原因を探し、治療や生活環境の見直しに役立ちます。
咳喘息は一部が喘息へ移行することがあるため、症状がよくなっても自己判断で治療を中止せず、定期的な診療を受けることが大切です。
「谷四かわい内科クリニック」は、大阪メトロ「谷町四丁目」駅6番出口から徒歩2分、谷町六丁目駅から徒歩10分、天満橋駅から徒歩12分のところにあり、電車でのご来院が便利です。

