咳や痰、発熱、倦怠感が続く場合、肺炎や誤嚥性肺炎、間質性肺炎の可能性があります。症状が似ているため風邪と自己診断しがちですが、風邪は通常数日で回復するため、1週間以上も続く場合は要注意です。
それぞれの肺炎は原因や治療法が異なるため、早めに呼吸器内科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。当院では、在宅酸素療法や人工呼吸器療法にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

肺炎の原因は、細菌(肺炎球菌、インフルエンザ桿菌)やウイルス(インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス)などの病原体です。細菌とウイルスの中間的な微生物(マイコプラズマ)や、真菌(カンジダ)も肺炎の原因となります。
また、免疫機能が低下すると、健康な人には問題のない病原体でも感染する「日和見(ひよりみ)感染症」として、肺炎を引き起こすこともあります。

咳
痰
発熱
脈が速い
呼吸が速い
呼吸困難
胸痛
倦怠感
肺炎の症状は風邪と似ていますが、咳や熱が1週間以上も続く場合は肺炎が疑われます。ただし、シニアの方は熱や咳が出ないこともあるため、少しでも異変を感じたら早めに受診することが大切です。

肺炎は病原体への感染によって発症し、感染した病原体の種類により「細菌性肺炎」「ウイルス性肺炎」「非定形肺炎」「肺真菌症」に分類されます。
治療法は感染した病原体に応じて、抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬などを適切に使い分ける必要があります。
細菌性肺炎
細菌性肺炎とは、細菌が肺に感染して炎症を起こす病気です。特に肺炎球菌やインフルエンザ桿菌が原因となることが多く、発熱や咳、呼吸困難などの症状が現れます。
同じ感染性の肺炎でも、ウイルスや真菌(カビ)が原因のものとは治療法が異なるため、感染した病原体を特定することが重要です。
【治療法】
治療には抗生物質を使用し、内服薬や点滴による投与が行われます。軽症であれば通院での治療が可能ですが、基本的には入院治療が必要です。
ウイルス性肺炎
ウイルス性肺炎とは、ウイルス感染によって肺に炎症が起こる病気です。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのほか、RSウイルス、アデノウイルスなど、さまざまなウイルスが原因となります。感染すると発熱、咳、息苦しさなどの症状が現れ、重症化すると呼吸困難を引き起こすこともあります。
【治療法】
細菌性肺炎とは異なり、抗生物質は効果がありません。また、抗ウイルス薬の有効なウイルスは限られているため、解熱薬や鎮咳薬などによる対症療法を中心に治療します。
非定型肺炎
非定型肺炎とは、細菌とウイルスの中間的な性質を持つ微生物により、肺が炎症を起こす病気です。若年層にも多いマイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎、オウム病などが含まれ、発熱や乾いた咳、全身の倦怠感などの症状が現れます。
細菌性肺炎に比べて軽症のことが多いものの、まれに重症化するケースもあります。
【治療法】
細菌性肺炎の治療薬であるペニシリン系抗生物質が効かないため、マクロライド系やミノサイクリン系などの抗生物質を使用して治療します。
肺真菌症
肺真菌症とは、アスペルギルスやカンジダ、クリプトコッカス、ムコールなどの真菌(カビ)が肺に感染して発症する病気です。薬や病気の影響で免疫力が低下している人に多く見られます。
症状は発熱、咳、血痰などで、進行すると呼吸困難を引き起こすこともあります。
【治療法】
真菌の種類に応じた抗真菌薬を使用しますが、病変が一箇所に集中している場合は、手術で病変部を切除して治療します。

肺炎は通常、気管支や肺胞に炎症が起こりますが、肺胞と肺胞の間の組織に炎症が起こる病気が間質性肺炎です。病原体以外にさまざまな原因があり、原因に応じた治療が必要です。原因が明確な場合はそれらを取り除くことが優先され、そのほかに薬物療法、酸素療法、呼吸リハビリテーションなどが用いられます。
当院で間質性肺炎と診断された方は、連携している高次医療機関へすみやかにご紹介いたします。症状が安定している患者さまには、在宅酸素療法のご提供も可能です。

誤嚥性肺炎は飲食物や唾液が誤って気管に入ることで、細菌感染を起こして発症します。基本的に入院治療となり、抗生物質を用いて肺の感染症を抑え、飲食を停止して肺機能の回復を図ります。誤嚥性肺炎は再発を繰り返しやすいため、飲み込みの訓練(嚥下リハビリ)や食事形態の調整(柔らかくする、とろみをつける)なども行います。
退院後も、口腔内細菌の数を減らすための口腔ケアや、食事の工夫を継続して、再発の予防に努めることが重要です。

肺炎にはさまざまな種類があり、風邪とも症状が似ているため、診断の難しい病気です。「肺炎かもしれない」と思ったら、呼吸器内科の診療経験が豊富な「谷四かわい内科クリニック」へご相談ください。
当院は大阪市中央区の大阪メトロ「谷町四丁目駅」から徒歩2分と通いやすく、在宅酸素療法による治療やフォローアップも行っています。
